
かつて市役所の職員として9年間働いていました。
そのときの経験をもとに、退職後に必要な手続きをまとめました。
会社などの組織では、年金やら税金やら年末調整やら、何から何まで、全て会社がしてくれますよね。
副業をしていないサラリーマンの方は、会社で年末調整をしてもらえるため、医療費控除の追加以外で年明けに確定申告をされる方はそう多くないと思います。
何から何まで会社で面倒を見てもらえる反面、何がどういう仕組みになっているのか、学べる機会というのはほとんどないのが実情ではないでしょうか。
本題の前に、記事をまとめた根拠として、市役所時代に担当していた業務の一部をご紹介します。
最初に配属された人事部門では、入退職者に関わる雇用保険や厚生年金保険に関する事務などをしていました。
また、税務部門ではおもに住民税を取り扱っていましたが、住民税だけではなく、所得税に関する知識も必須でした。
退職後の手続きを案内をしたり、市民のお客様から、退職後の税金についての問合せに対応した経験などを思い出しながら以下をまとめました。
プラスして、私の退職時の実体験ももとにしています。
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対象としている方
退職後はいったんフリーになって、失業保険(失業等給付)などを検討されている単身の方向けに書いています。
もちろん、配偶者や扶養家族がいる方も、参考になる部分があると思いますが、話をシンプルにまとめるために、 国民年金の「第3号被保険者」に関する部分は、 今回は省略しました。
何卒ご了承ください。
また、退職後すぐに、社会保険完備の転職先がすでに決まっている方は、手続きもろもろ、基本的には会社が手続きをされるはずなので、特にこれを読んでしないといけない手続きはないかと思います。
辞めるときに返すもの・もらうもの
- 保険証は返却
- 資格喪失証明書をもらう
- 離職票を依頼(後日発行)
- 源泉徴収票をもらう(後日発行)
保険証は返却

退職日から次の日は、会社の保険証は持っていても医療機関で使えません。
心もとない気持ちになるかもしれませんが、潔く返却しましょう。。
また、退職後は①国民健康保険加入、②家族の勤務先の保険組合の扶養に入る(収入条件あり)、③任意継続のいずれかを選択します。
資格喪失証明書をもらう
健康保険の加入や、国民年金の加入手続きに必要な書類になります。
名称は会社によって変わる可能性があります。
離職票を依頼(後日発行)
失業保険(失業等給付)を検討されている方は、もらっておくことをお勧めします。
また、失業による国民年金の免除・納付猶予を申請できるという制度があるのですが、申請を検討される方は、手続きに離職票のコピーを求められることがあります。
使い道は、失業保険だけではないのでやはりもらっておくのがいいかもしれないですね!
離職票の作成には、会社の都合で少し時間がかかると思いますが、作成していた立場から言わせていただくと、よほど遅い場合でない限りは、温かい気持ちで届くのを待っていただけたらと思います。
源泉徴収票をもらう(後日発行)
源泉徴収票には、その年の1月1日から退職時までの、給与収入やその間に徴収した所得税(源泉徴収税額)などが記載されています。
年内に再就職した場合や、所得税の還付申告などで必要になります。
事業者には、源泉徴収票を発行する義務があります。
こちらもたいてい後日になると思いますので、よほど遅い場合でない限りは、どうか温かい気持ちで・・・
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健康保険
国民健康保険
国民健康保険に加入する場合は、市役所の保険年金課(名称は自治体によりけり)で加入手続きができます。
資格喪失日が確認できる書類が必要になりますので、資格喪失証明書等を前の職場で準備してもらってください。手続きにはご本人の身分証も必要です。
家族の勤務先の保険組合(収入制限あり)
ご家族の勤務先の保険組合の扶養に入る場合は、お勤めしている方の職場の保険組合にご相談ください。
おおよそ年間130万円までが、健康保険における扶養家族の収入の上限ですが、収入認定の計算方法などは各健康保険組合によって異なるようです。
任意継続
任意継続とは、条件を満たせば在職時に加入していた保険に最大で2年間引き続き加入できる制度です。それぞれの給付内容や保険料を比較して判断される方が多いようです。
年金保険
市役所の保険年金課(名称は自治体によりけり)で加入の手続きをしましょう。
参考までに、年金手帳、印鑑、資格喪失証明書(資格喪失日がわかるもの)、身分証などが必要です。
失業による国民年金の免除・納付猶予を申請される方は、同じ窓口で確認されるといいと思います。
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所得税と住民税

所得税(国の税金)
源泉徴収票の源泉徴収税額の欄に、その年の1月から退職時までに徴収された所得税の金額が記載されています。
年内に再就職した場合は、前職分と合算して年末調整(所得税の精算)をしてもらえるので、新しい職場に提出します。
そうでなければ、年明けの確定申告のときまで大切に保管しておきましょう。
住民税(市・県の税金)
退職時に、一括徴収か、普通徴収(納付書払い)になります。
一括徴収とは、残りの税額をまとめて徴収してもらうことです。
一括徴収されなかった分は、普通徴収(納付書払い)に切り替えられ、納期がせまると、市役所から納税義務者本人宛に、納付書が届きます。
前年の所得に基づいて、6月頃に住民税の金額が決定した後、12月31日までに退職した場合は、本人の申し出により事業者は一括徴収することができます。ただし、1月1日以降に退職した場合は、事業者は本人の申し出がなくても一括徴収することとなっています。
(参考)
特別徴収(給与引去り)→毎月給与引去り(6月始まり5月終わり)
普通徴収(納付書払い)→年4回(6月・8月・10月・1月)
上記のように、普通徴収は第1期から第4期の4回に分かれていますが、1月1日以降に退職した場合は、すでに第4期1月の普通徴収分と重なるか過ぎているため、事業者は一括徴収することとなっています。
いずれにせよ、上の流れは、事業所が市役所に届け出をして、それに基づいて、市役所が本人宛に納付書を送るようなシステムになっているので、住民税の手続きに関して、ご本人は、納付以外は特にすることはないかと思います。
失業保険
失業保険(失業等給付)を検討されている方は、住所を管轄するハローワークで必要なものを準備して手続きをします。
必要となるもの(参考)
- 離職票1,2
- 写真(正面上半身3.5×2㎝)2枚
- 印鑑
- マイナンバーがわかるもの(マイナンバー通知カードなど)
- 身分証(運転免許証など)
- 本人名義の通帳
流れとしては、求職申込みをしてから手続きをし、受給資格の決定などが行われたら、指定された日時の雇用保険説明会に出席します。
その後は、求職活動の実績や、離職理由による3カ月の給付制限の期間などがありますが、ケースバイケースのためここまでの説明にさせていただきます。
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おわりに。
以上が、大体の退職後の手続きです。
事業者側として手続きをしていた経験や、離職者としての実体験などから今回の記事を書きました。
退職を考えている方の、ご不安がすこしでも解消されたら幸いです。