
Oi pessoal tudo bem? みなさんお元気ですか。
先日、下記の記事を読みました。
昨年7月に開始された、日系4世のビザの申請件数についての内容です。
日本政府が海外に住む日系4世の若者に対して創設した、日本で就労できる在留制度への申請が低調に推移している。昨年7月ので制度開始以降、在留資格を得たのは6月17日時点で43人と、法務省が用意した4千人の受け入れ枠の約1%にとどまる。日本政府は人手不足解消のため外国人労働者の受け入れ拡大を進めるが、日系4世については思惑が外れた形だ。
2019年7月5日 日本経済新聞朝刊より引用
上の記事で、久しぶりにこの件の進展を知ったのですが、「やっぱり・・・」と思うところがあったので、私見を述べたいと思います。
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新設ビザの申請が少ない理由
控えめに言っても、1%という数字は大幅に下回っているどころではないと思います。
制度自体に疑問が生じざるを得ません。
用意していた、当初年間4千人の受入れ枠にはそれなりの根拠があり、制度新設に伴い、その道に詳しい有識者の方々も携わっていたのかどうかはわかりませんが、どうしてこんな結果になってしまったのでしょうか。
まだ1年しかたっていないので、今後、内容が変更される可能性はあるかもしれませんが、ひとえに初年度が不評低調の理由は、
「日本に都合が良すぎる内容だから」
と私は考えています。
関心が高かった日系4世の就労ビザ
現在、日系2世、3世までは、「定住者」として日本に滞在することができます。
就労制限もないため、自分の好きな仕事に就くことが可能です。
しかしこれが認められているのは日系3世までです。
日系4世以降は、日本に来て自由に働くことはできません。
以前から、日系4世の就労ビザ創設については、日系人が多いブラジルの日系人コミュニティでも大きな関心があったようです。
私は日系ブラジル人の夫からこの話題について知り、関心を持つようになりました。
おそらく、日系ブラジル人の希望は、4世もこれまでと似たような条件で日本に来られるようになることだったと思います。
しかしふたを開けてみてガッカリ、そのハードルは高く、例え日系4世でもスタートラインにさえ立てない人もいることがわかりました。
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4世ビザ問題点と今後
完全なミスマッチ

ブラジルに関して言えば、申請する側のブラジルと、申請される側の日本の間で、ある1点においては利害の一致があったと思います。
日本に行って働きたいと思う日系4世がいるブラジルと、労働力不足が深刻化する日本という視点です。
労働力不足解消が目的なら、その一点に焦点を絞れば良かったのかもしれませんが、それにさらなる条件が付けられました。
- ある程度日本語ができること(日本語能力試験N4程度)
- 若い人(18~30歳、健康であること)
- 単身(家族を帯同しないこと)
- 最長5年
などの条件です。
もちろん、ひとつひとつの条件にそれなりの理由があると思いますが、全部追加したところで、最優先事項が何なのか、優先順位も何もわかりません。
ハードルが高すぎると思われて、申請者がほとんどいない状態でも仕方ないとしかいいようがないと思います。
そもそも日系3世でさえ、日本語を話さない人がたくさんいます。
夫もそのうちの一人でした。
日本語は日本に来てから覚えました。
日本語能力については、さらなる条件が課せられており、3年目以降在留する際は、日本語能力試験N3程度が必要となっています。
この日本語能力試験とは、日本語を母国語としない人の日本語能力を測定する試験で、N1からN5までの5段階からなり、年2回、日本国内と世界各地で実施されています。
回答はすべてマークシート方式で、公式の問題集を見ましたが、 N3は漢字の読みや、漢字が含まれた長文読解もあり、 私個人的には、やや難しいように思われます。
日系4世ともなれば、3世の親が日本に出稼ぎに来たときに、日本の学校に通っていたことがあるとか、特別に勉強した人でもない限り、日本語を話せる人などそうそういないと思います。
また、若い人かつ単身という条件も非常に門を狭める条件だと思います。
「架け橋」に年齢制限は必要?
制度の趣旨は、日本と現地日系社会との架け橋となっていただくことを目的とした制度とされています。
しかし、それは表向きの理由です。
日本と現地社会の架け橋となってもらう方に、年齢制限や家族帯同付加などの条件が付くのはなぜでしょうか。
せっかく架け橋になってもらっても、その後30歳過ぎたら同じようには日本に来られないなんて。
あまりにも表向きの理由と条件がかけ離れているように感じます。
表向きの理由にこだわっていても仕方ないので、この辺で切り上げますが、建前と本音の二段階構造で考えたり制度設計をすると、かみ合わない部分が生じてくるのは当然のことです。
条件緩和の前に
結局、申請件数を増やすために日本ができることといえば、条件を緩和することです。
しかし、家族帯同不可にしているには、それなりに日本の事情もあるとは思います。私の考えでは、生活面で外国人をサポートできる体制が整っていないことが、その理由の一つではないかと思います。
例えば医療通訳や外国人児童のサポートなどです。
おそらく条件緩和の前に、生活面の支援体制を整えることが先決になると思います。
日系人は、ブラジルに関していうと、今の時代は学歴が高い方が多く、アメリカ留学をしたり、国内で社会的地位の高い職業に就く機会が比較的あるそうです。
ただ、治安や雇用など国内の状況が悪いために、海外で働くことが選択肢になり得るようです。
「別に日本じゃなくても・・・」とすでに思われつつありますが、日本に興味があり、日本で働いてみたいと希望している人が、制度を利用して今よりもう少し自由に働けるようになることを願っています。